Hachi Note

Enjoy your Tokyo life.

朝のリレー

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平成最後の夏が終わろうとしているので、この夏にあった印象的な出来事について書く。

お盆休みで滋賀に帰省していたある日、友人から連絡があった。彼は数日前からアメリカに旅行に出ていた。LINEで届いた写真には、私が見たことのない自由の女神や、夜のネオン煌めくニューヨークの街並みが写っている。
私が日本の琵琶湖のそばで眠っている間に、彼はアメリカで陽の光を浴びて色々なものを見ているんだなあと思うと、谷川俊太郎の「朝のリレー」という詩を思い出した。世界中の人々が、交替で地球を守っているのだと……。ネットで検索したけれど、これ、とてもいい詩だ。ささやかであると同時にとても壮大で、とても素敵な。

 

カムチャッカの若者が きりんの夢を見ている時

メキシコの娘は 朝もやの中でバスを待っている

ニューヨークの少女がほほえみながら 寝返りをうつとき 

ローマの少年は頭柱を染める 朝陽にウインクする

この地球では いつもどこかで 朝がはじまっている

ぼくらは朝をリレーするのだ 緯度から 緯度へと

そうしていわば交替で地球を守る 

眠る前のひととき 耳をすますと

どこか遠くで 目覚まし時計のベルが鳴っている

それはあなたの送った朝を 誰かがしっかりと受け止めた 証拠なのだ

                          ー朝のリレー

 

日本時間18/8/15 0:16。終戦記念日
真夜中の静まり返った自分の部屋で、京都で買った「愛を、まぬがれることはどうやらできないみたいだ」をぱらぱらめくりながら携帯を見る。LINEに返信すると、一瞬で既読が付くその速さに驚く。
それから彼が帰国するまでの数日間は毎日、今頃アメリカは何時だろう、彼は何をしているのだろう……と気が付けば考えていた。日本が朝になればアメリカは夜になり、アメリカが朝になれば日本は夜になり……という具合に、この地球で毎日行われている朝のリレーに感動した。インターネットを介して瞬時に地球の裏側にいる人と無料でやりとりができるという、20年前には考えられなかったことができていることにも。それらはごく当たり前の事実なのに、とても新鮮な発見だった。そして1万キロの距離を経てお互いのことを考えていると感じられるのは、同じくらい素晴らしいことだった。

私も日本から少しは出て行かなければいけない。出て行きたい。