Hachi Note

Enjoy your Tokyo life.

片思いができなくなった

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最近片思いをしなくなったなあと思う。いいなと思う人はしょっちゅう現れる。肉体的に惹かれる人、知的で話していて楽しい人など。ただどんなに魅力的でも、パートナーがいると知ったり脈がないと感じたら、ふっと気持ちが冷める。1か月もすればほぼ完璧に気持ちを切り替えられるようになってしまった。これには数年前のある失恋が関係していると思う。

 私は新卒で入った会社で教育係の先輩の男性を好きになった。なんかもう、ありきたり過ぎて恥ずかしいほどだ。彼は私に社会人の基礎的なことを教え込み、私はそれを過剰に有難がりながら彼の仕事を手伝う、というような関係が1年ほど続いた。彼は私に慕われたり、私が自分の言う通りに動くことには満更でもないようだったが、結局私の同期で彼にとっては大学のサークルの後輩に当たる女と付き合い始めた(その後結婚したらしい)。当初、二人はそのことを周囲に隠していた。私は二人の関係に薄々気付きながらも、一途に好きでいれば振り向いてもらえるかもしれない、とか馬鹿な期待をしていた気がする。脈はないだろうなと思いつつも片思いを続けていたわけだ。

 

今になって考えると彼の何がよかったんだかさっぱりわからない。彼は背も低くて20代なのに既にビールっ腹だったし、後輩や親しい人をお前呼ばわりするし(何様やねん)、スポーツ好きで私とは全く趣味が合わないし、面倒見がいいとはいえクールな人だった。ただ、社内では仕事ができるという評価をされていて、話が面白く、上司からも後輩からも受けがいい人だったので魅力的に感じたのだろう(なんとビールっ腹すら当時はかわいらしく見えていた)。それに何より、相手から仕事やら何やら色んなことを教えてもらうという関係は、何だかものすごく甘美なところがあった。だって、仕事に限らず勉強や見る映画のような私生活のことまで影響を受けていたのだ。半分仕事で半分雑談みたいなメールの数々。誰かとあんな関係になることは二度とないだろう。なりたくもないけど。

 

その同期の女性から二人が実は付き合っているということを直接聞かされたときは、覚悟していたとはいえやっぱり動揺した。同期会の席だったのだが、心臓がばくばくしてざく切りトマトを落っことしてしまったことを今でも覚えている。それからの二人に対する私の感情は、一言で言えば嫌悪だった。いや憎悪かな。表面上はおくびにも出さなかったけど、騙されて馬鹿にされていたような気分だった。特に男の方に対する私の気持ちは180度回転した。以前は盲目的に好きで、何でもいいから彼の役に立ちたい、自分のことは後回しでいいとさえ思っていたのに。かわいさ余って憎さ百倍。その後私は会社を辞めたが(この件が原因じゃないけど)、二人とは一度も連絡を取っていない。

 

世間的にはありふれた出来事なんだろうけど、私にとってはとても大きなことだった。一種の男性不信というか、いい人がいても「どうせ彼女いるんでしょ?」と必要以上に構えるようになった気がする。そして自分自身の恋愛感情も信用しなくなった。私は見返りなしに人に尽くしたり恋することなんてできないってよーくわかった。その後も何人もの人を好きになったし、最低限の条件さえクリアすれば私は結構誰でも好きになれるんだなーということもわかった。無理そうだったらさっさと次に行けばいいんだよ、ということを骨の髄から理解した。

それから。やっぱり女性は愛するよりも愛される方が幸せだなと思った。

 あれ以来、一方的に誰かを恋い慕うことはなくなったし、今後ももうないだろう。幻想だってわかっているから。単に集中力とエネルギーがなくなったとも言えるけど。

 太宰治は「究極の恋愛は片思い」だと言った。私は片思いは青春の風物詩というか、特権のようなものじゃないかなと最近思う。